エア・ウォーター(大阪市)は8月29日、セブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)の2店舗で、積雪地のコンビニエンスストアに対応した垂直設置型太陽光発電システム「VERPA(ヴァルパ)」の実証運用を8月から共同で開始したと発表した。
VERPAは、両面発電型太陽光パネルを垂直設置する太陽光発電システムでエア・ウォーターと独Next2sun(ネクスト2サン)が共同で開発した。積雪・雹・黄砂・花粉・落葉・鳥による落石や糞などの被害の懸念がほとんど不要で、反射光は足元に落ちるため周辺住民からの苦情リスクがないという。
また、地上面から太陽光パネル最下部までの高さを2m以上確保しているため、保安用の立入禁止フェンスが不要で、人が行き来する生活圏と共存できる。建築物ではなく工作物となるため、市街化調整区域にも設置できる。
高さ制限が必要な屋根構造を持たないため、貨物自動車やハイルーフ車両なども利用する道路沿いの商業施設(ロードサイド店舗)の駐車場に向く。同社によると、実際にロードサイド店舗の駐車場に垂直設置型太陽光発電システムを設置するのは世界初の事例という。
宮城県登米市の「セブン-イレブン迫佐沼北方店」、山形市の「セブン-イレブン蔵王みはらしの丘店」に設置した。太陽光パネルの向きは、迫佐沼北方店が北東-南西方向、蔵王みはらしの丘店が北西-南東方向。両面発電型パネルを採用するため、向きによる発電量の違いはみられないという。
1店舗あたりの太陽光パネルの出力は25.2kW、パワーコンディショナー(PCS)出力は9.9kW。年間発電量は20MWh以上を見込む。発電した電力は自家消費し、災害時や停電時には非常用電源としても活用する。年間CO2削減量は1店舗あたり9.42t以上で、1店舗あたりの削減効果は約15%を見込む。実証期間は2027年3月まで。
エア・ウォーターは、2023年に自社用地内に実証機を設置しており、自社外施設への設置は今回が第1号案件になる。同社は、2030年度に年間1000億円規模の売上を目指している