横浜市は、公共施設を活用した次世代型太陽電池の実証実験に取り組んでいる。第1弾のペロブスカイト太陽電池に続き、第2弾として、結晶シリコン型太陽電池をガラス建材に組み込んだタイプを設置した。「既存の窓に取り付け可能な太陽電池の実証実験」として、12月4日から横浜市庁舎アトリウムで開始した。
実証実験の実施事業者はAGC。同社の既存建物向け太陽光発電ガラス「後付けサンジュール」を市庁舎2階南側のアトリウム窓面に16枚設置した。パネル1枚あたりの大きさは110cm×80cm。結晶シリコン型のセル(発電素子)を使用するが、今後ペロブスカイト太陽電池の活用も検討する。
発電量は1日あたり約2~3kWh程度を見込む。発電した電力はデジタルサイネージに活用し発電状況を検証する。電力の使用方法は、今後定期的に変更し、多様なツールでの活用を予定する。実証期間は12月4日から2025年12月末までの予定。
「後付けサンジュール」は、既存の窓や建物本体への工事が不要で、屋内側からの簡易施工によって設置できるのが特徴。ガラスメーカーの知見を活用し、発電モジュールを窓際に設置した際に発生するガラスの熱割れリスクを低減した。AGCは、12月から同製品の試験販売を開始した。
横浜市では、太陽光発電の適地が限られる都市部にさらに再生可能エネルギー設備を普及拡大させるため、公共施設を活用した次世代型太陽電池実証事業の提案を募集し、9月に3事業者4提案を選定した。
第1弾の実証実験として、9月30日~11月28日に市庁舎アトリウム南側2階管理通路にフィルム型ペロブスカイト太陽電池(1225mm×460mm)を4枚設置し、LED点灯など発電状況を検証した。事業者は東芝エネルギーシステムズ。
今後、鶴見区役所の屋内で軽量・フレキシブルなフィルムベースの有機薄膜太陽電池の検証、北部第二水再生センターの屋外で壁面設置を模擬したペロブスカイト太陽電池を設置して検証する。両実証実験とも事業者は東京電力エナジーパートナーで、来年以降の実施に向けて調整を進めている