太陽光・入札結果、加重平均が「8円台」に上昇、特高案件は1件に

電力広域的運営推進機関(OCCTO)は8月23日、太陽光発電(250kW以上の高圧・特別高圧連系案件)を対象にした、再生可能エネルギー利用に関する特別措置法に基づく第21回入札(2024年度・第2回)の結果を公表した。今年度から250kW以上はすべてフィード・イン・プレミアム(FIP)となる。

 今年度に実施する4回の入札では、事前に上限価格を公表する。第1回の9.20円/kWhから9.13円/kWh、9.05円/kWh、8.98円/kWhという順番で0.07~0.08円ずつ段階的に下げていく。今回の上限価格である9.13円/kWhは前回の9.20円/kWhより0.07円円/kWhの低下となった。また、募集容量は既定の計算式から107MWとなった。

 結果は、募集容量を大幅に下回る入札参加となり、落札した案件は22件・33.761MWで、入札した案件がすべて落札された。落札容量は、募集容量の3分の1に留まった。前回20回では、入札参加の合計容量は、募集容量の1.3倍、前々回の19回では入札参加が募集容量の2倍を超えたのと比べると低調で、入札の効果が発揮されなかった。

 落札した22件を規模別で見ると、250kW以上500kW未満のミドルクラスが5件、500kW以上2MW未満の1MW前後が16件、2MW以上の特高案件は1件だった。前回の20回では、落札案件47件中、ミドルクラスが10件、1MW前後が34件、特高案件は3件だったのと比べると、概ね同様の比率になっているが、特高案件が13.332MWの1件に留まったことが、件数の減少に加えて落札容量が少なかった要因の1つになった。

 落札価格の加重平均は前回の6.84円/kWhから8.08円/kWhとなり、前回に比べて1.24円上がった。加重平均価格が上がったのは2回連続となる。上限価格が下がっている中で、落札価格の加重平均が上がっているのは、入札容量が減少し、競争入札の効果が発揮されていないことが大きな要因と言える。

 今回、最低価格の案件は、サンヴィレッジの5.00円/kWhで、こちらも前回の最低価格(4.55円/kWh)よりも上昇した。

 今回の入札に当たり、審査のために提出された事業計画数は27件・38.321MWで、こちらも前回(62件・122.498MW)に比べ、件数・容量とも大幅に減った。そのうち入札への参加資格を得たのは27件・38.321MWと同数となった。ただ、さらにそのうちで、実際に入札に参加したのは22件・33.671MWだったので、5件が参加を見送った。

 今回の入札では、落札価格の加重平均が、前回の6円台から8円台に上がったものの、それでも卸電力市場の平均を大幅に下回る水準であることに変わりない。電力料金や電力卸市場が高値水準で推移する中、太陽光の開発スキームは14~16円/kWhが相場とされるオフサイトPPAスキームが主体になっており、FIPの役割が、コーポレートPPAの中断と市場価格の暴落リスクへの保険的な意味合いになっていることを改めて示した。

 オフサイトPPAの事業開発にあたっては、売電契約先が確定するのに時間がかかりそうな場合、とりあえずFIP認定によって事業スキームを確定させて連系協議を進めるケースも多いという。10円/kWhを下回る入札価格では、とりあえず認定をとって連系枠を抑え、将来的にオフサイトPPAに切り替えるという発電事業者も多いと見られる。

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