金属窃盗の3割超が太陽光、警察庁が対策検討会で公表

警察庁は、金属の窃盗対策に関する検討会を開催した。金属類の窃盗事件全体のうち、太陽光発電所における金属ケーブル窃盗の割合は、2023年が32.9%、2024年6月末時点が38.7%だった。また、被害は関東(東京を除く)に集中しており、検挙人員に占める外国人の割合は、2023年が60.7%、2024年6月末時点が65.0%だったという。

 金属の窃盗は統計を取り始めた2020年以降増加傾向にあり、認知件数は2023年が1万6276件、2024年(1月~6月の暫定値)は1万758件になる。一方、検挙件数は2023年が3226件(検挙率19.8%)、2024年が2274件(21.1%)にとどまる。また、2023年の管区別認知件数では、警視庁・関東管区が全体の62.6%で、上位5県(茨城、千葉、栃木、群馬、埼玉)で全体の約半数にのぼる。

2023年の品目別被害状況(認知件数)は、金属ケーブルが8916件と全体の54.8%を占めた。材質別では銅の価格高騰を背景に、銅が8437件、51.8%を占めた。また、被害総額は約182億8700万円。品目別では金属ケーブルが約109億8100万円で約8割、材質別では銅が約97億7900万円で約7割に達した。

太陽光発電施設で金属ケーブルが盗まれた場合、一定期間発電が停止するなど、社会や事業に与える影響が大きい。対策として、全国17道府県で「金属くず条例」が制定されている。同条例では、金属くず買取業者に対して、相手方の確認、不正品の疑いがあると認められるときの警察への申告、帳簿などへの記載について義務が課されている。道府県によっては、管理者の選任、取引場所の制限、未成年者との取引規制に関する規定も設ける。

 条例を制定している道府県は、北海道、茨城県、千葉県(2025年1月1日施行予定)、長野県、静岡県、福井県、岐阜県、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県。条例に基づく許可等件数は、2023年末時点で営業(営業所を設けて金属くず売買を行う業態)が2万2834件、行商(営業所以外で金属くず売買を行う業態)が1万1960件。

 また、警察では、業界団体、関連省庁と連携して、太陽光発電事業者の防犯対策の高度化に向けて取り組んでいる。2023年9月と2025年4月に業界団体・関係省庁との検討会、2023年11月に事業者に対する防犯情報の提供、2024円2月に推奨される防犯対策を集約した。このほか、犯行前の窃盗グループへのアプローチとして、侵入時に多用されていた「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」を制定した。

 こうした対策の一方、現状の課題としては、金属窃盗の被害品の買い取りは必ずしも現行法令の規制対象となっていないことから、「相手方の確認・不正品の疑いがある場合の申告・取引が記録されない場合が多い」「届出などを通じた金属くず買取業者の実態を把握できない」「盗品の処分(売却)が容易で盗品の流通抑止が困難」といった問題点が挙げられる。

 また、金属ケーブル窃盗に多用されるケーブルカッターなどの工具の所持などに対しては、罰則が軽い軽犯罪法以外の規制がかかってなく、抑止効果が限定的で効果的な取り締りも困難なのが現状という。

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