経済産業省は8月7日に有識者会議(再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)を開催し、地熱発電の現状と推進、国土交通省による再エネ推進の状況のほか、再エネ特措法の運用に関し、固定価格買取制度(FIT)からフィード・イン・プレミアム(FIP)への移行を促す、新たな施策を公表した。
再エネ電源に対する出力制御(出力抑制)の順番について、これまでFIT電源とFIP電源を区別せずに、「バイオマス発電→太陽光・風力」という順番だったが、早ければ2026年度中に「バイオマス発電(FIT電源→FIP電源)→太陽光・風力(FIT電源→FIP電源)」という順番に変更する。
これによってFIT電源の出力制御回数が増える一方、FIP電源に対する出力制御は大幅に減ることになる。事務局によると、「出力制御が特に多い地域では、FIT電源全てが制御された後、FIP電源が制御されることになるが、そのほかの地域では、FIP電源は、当面、出力制御の対象とならない」としている。
並行してFIP電源に求められる発電予測と、蓄電池を併設する取り組みをいっそう強力に支援していくという。これらの支援策は、FIT・FIP認定案件の全体の約25%がFITに移行するまで集中的に行うとした。
経産省によるとFIP認定案件は、2024年3月末現在、1199件で、そのうち新規が976件、FITからの移行が370件となっている。2023年12月にバランシングコストの見直しを公表(2024年4月実施)したことで、2023年度下半期にFIP認定が急増したという。
今回の出力制御の順番変更に関して複数の委員から、既存のFIT電源の出力抑制量が増えることによる制度変更リスクへの懸念に加え、出力制御の確率が減ることでFIP電源への蓄電池併設のインセンティブが低下するといった課題も示された。特に太陽光発電協会(JPEA)では、既存FIT案件の負担増とFIP移行への政策効果を考えると今の事務局案には賛成できない」との見解を示した。これに対し、経産省・事務局は、FIT案件の抑制量増加は、従来の契約内容(30日ルール、無制限無補償など)の範囲内であるとし、事業者団体などとは今後、丁寧に説明して理解を求めたいとした。