経済産業省は10月15日、太陽光発電設備の廃棄・リサイクル制度の義務化に関する有識者会議(太陽光発電設備リサイクル制度小委員会)の第3回会合を開催した。
会合ではリサイクル制度の創設に関し、解体・撤去費用を負担する主体、再資源化・リサイクルを行う対象設備と、使用済み設備を引き取って再資源化・リサイクル(素材として再利用)する主体に関して方向性が示された。
まず、再資源化義務の対象は「太陽光パネル」に限定した。太陽光発電設備を構成する基礎・架台について建設リサイクル法ですでに再資源化が行われているほか、パワーコンディショナー(PCS)はすでに有価物として取引されていることから対象外とした。
太陽光パネルの再資源化の手法については、部材によって異なるとした。重量の約6割を占めるガラスは、路盤材から板ガラスまで幅広い手法で再資源化されている実績があり、さらに再資源手法を高度化していく一方、プラスチック(EVA)やシリコンについては、現状ではリサイクルまで求めることは技術的・経済的に難しいため、当面は熱回収(サーマルリサイクル)を排除しないとした。
今回の有識者会議では、廃棄・リサイクルに要する費用を、「発電設備の解体・撤去費用」と、「分解・再利用費用(狭義の再資源化・リサイクル費用)」に分けて検討している。このうち、発電設備の解体・撤去費用については、すでに再エネ特措法の廃棄等費用積立制度によって、発電事業者が負担していることを考慮し、新制度の下でも発電事業者(発電設備所有者)が負担するとした。
新制度による再資源化義務の対象は、再エネ特措法によらない非FIT(固定価格買取制度)、非FIP(フィード・イン・プレミアム)案件の設備も含まれるため、「今後、FIT・FIP 設備と同程度の強度で、非FIT・非FIP設備の情報を把握する仕組みを設ける」とした。その手法として、電気事業法により設備設置時での情報把握の可能性を示した。
また、狭義の再資源化・リサイクル費用を負担する主体については、発電事業者(設備所有者)なのか、太陽光パネル製造事業者(輸入事業者)なのか、今後の検討課題とした。
ただ、使用済みパネルを引き取って実際に素材ごとに分別して再資源化する主体については、「太陽光パネル製造事業者(輸入事業者)に課すとすると、設置から20年後の廃棄時に不存在も考えられ、再資源化の実施に支障が出る恐れがある」とした。
その上で、「個別リサイクル法では、廃棄物処理法の特例として、再資源化を行う廃棄物処理業者などの許可・認定制度が設けられている」とした。実はすでに、今年5月に成立した再資源化事業等高度化法では、先進的で高度な再資源化の取り組みを環境大臣が一括して認定する仕組みを設けており、太陽光パネルについても同法などによって全国各地に高度なリサイクル設備が配備されるよう後押ししている。
こうした流れと有識者会議での検討状況を見ると、使用済みパネルを素材ごとに分別・再資源化する主体については、既存の中間処理業者などで太陽光パネルの高度な分解・再資源化技術を持った事業者を認定するような仕組みになる可能性が高い。