あいおいニッセイ同和損害保険(東京都渋谷区)とウェイストボックス(名古屋市)、中部電力グループの中部電力ミライズおよびシーエナジーの4社は11月29日、あいおいニッセイ同和損保へのCO2フリー電気導入および国際的な再生可能エネルギー証書「I-REC(アイレック)」の活用に関する契約を締結したと発表した。
I-RECは、 非営利団体のI-REC規格財団(The International REC Standard)が策定した再エネ証書の仕組み。特定地域で発電されたことを示す「産地価値」と、特定電源由来であることを示す「特定電源価値」を証明できる。世界約50カ国で発行され、RE100やCDPなどに認定されている。
現在、国内で発行される非化石証書は、CO2排出量を減算する「環境価値」を証明するが、産地・種別などの電源属性を証明できなかった。今回の取り組みにより、再エネの環境価値・産地価値・特定電源価値を国内外で一括証明が可能になる。非化石証書とI-RECを組み合わせたCO2フリー電気の導入は国内初。
契約に基づき中部電力ミライズは、シーエナジーが所有するメガソーラー(大規模太陽光発電所)「長門牧場メガソーラー発電所」(太陽光パネル出力約18.7MW、連系出力約16.5MW、予想年間発電量約2548万kWh)が発電する電力の一部を調達。同発電所由来の非化石証書を組み合わせたCO2フリー電気メニュー「Greenでんき」を「あいおいニッセイ同和損保 名古屋名駅ビル」に供給する。
同発電所は、固定価格買取制度(FIT)で売電しており制度上、環境価値を持たないため、特定卸供給によって調達した上で、非化石市場を通じて環境価値を取得した。
シーエナジーは、同発電所の発電量に応じて、ローカルグッド創成支援機構にI-RECを申請・発行する。ウェイストボックスは、あいおいニッセイ同和損保の代理でI-RECを償却し、I-REC償却証書を発行する。環境価値が二重計上されないよう、I-REC償却証書と非化石証書を同量供給する。これにより名古屋名駅ビルの使用電力を100%再エネにし、年間約300tのCO2排出量を削減する。
また、あいおいニッセイ同和損保は、名古屋名駅ビルを除く中部地区(愛知、岐阜、三重、長野、静岡)の事業所8拠点で使用する電力について、中部電力グループが保有する再エネ電源に由来するGreenでんきの提供を受ける。これにより使用電力の約46%を再エネ化し、年間約800tのCO2排出量を削減する。両取り組みとも、12月1日から開始した。
今後、8拠点や他の中部地区事業所についても、長門牧場メガソーラー発電所由来の非化石証書とI-RECの導入を検討する。さらに、あいおいニッセイ同和損保は排出権取引の媒介認可を取得していることから、今回のスキームを活用してウェイストボックス、中部電力ミライズ、シーエナジーと協業しながら、取引先などの企業を対象に長門牧場メガソーラー発電所由来のI-RECの取引媒介業務を進めていく