経済産業省は2024年12月17日、調達価格等算定委員会を開催し、需給近接型太陽光発電設備に対する「初期投資支援スキーム」について、これまでの討議を踏まえた具体的なスキームの算定結果を公表した。
屋根設置などの需給近接型の太陽光発電は、設置主体となる建物所有者が個人や中小事業者といった財務体力が小さい場合が多く、投資回収年数の長さが導入に向けた障壁の1つになっている。初期投資支援スキームでは、固定価格買取制度(FIT)・フィード・イン・プレミアム(FIP)の期間や価格のあり方を見直して、早期に投資回収できるようにする制度を目指している。
具体的なスキームの事務局案として、住宅用太陽光は、投資回収期間を早めるために、支援期間(FIT/FIP期間)を短縮して価格に上乗せする「支援期間の短縮」スキームを採用することを提案した。早期化の効果を最大にする値を計算した結果、初期投資支援期間が4年間で、初期投資支援価格が24円/kWh程度と算定した。
事業用太陽光(屋根設置)は、初期支援と後期支援の期間を別個に設定し、初期の価格を高く、後期の価格を低くする「階段型の価格設定」スキームを採用し、事業継続・適切な廃棄を確保することを提案した。初期投資支援期間が5年間で初期投資支援価格が19円/kWh程度と算定した。
なお、今回の試算では、自家消費による経済メリットを妨げないことを目指した。その前提となる電気料金の水準として、産業用電気料金・19.56円/kWh、家庭用電気料金・27.31円/kWhを想定し、初期投資期間の価格がこれを超えないようにした。また、加重平均後の卸電力取引の水準を8.3円/kWhと設定した上で、初期投資支援スキームで調達価格/基準価格を設定した場合の国民負担と、従来の方法での国民負担では、割引現在価値ベース(割引率2%)で、前者が大きくならないようにした。
なお、初期投資支援スキームの対象に新築建物への太陽光設置を含めるか否か、については検討課題となった。新築建物への太陽光設置は、設備費用が住宅の建設・購入費用の内数となり、投資回収期間が大きな障壁にならない、との指摘もあった。一方、足下における新築戸建住宅への太陽光設置率は31.4%程度に留まり、2030年度目標(60%)に向けて推進策を強化する必要があるため、現時点では新築建物への設置を支援対象外とせず、今後の導入率や設置者の自家消費動向に与える影響などを把握しつつ、関係施策の動向を注視してはどうかとの意見もあった。